タイトルどおり、60年代らしい色気たっぷりのアルバムです。紙ジャケット仕様なのもアルバムコンセプトに合ってます。デオダートを知らずにこのジャケットに出会うと、デオダートを女性だと想う人もいるかもしれませんが、男性です、念のため・・・。ブラジル生まれのエウミール・デオダートはキーボーディスト&アレンジャーとして名高いですが、世界を股にかけた活動とキャリアの長さもあって、音楽の方向性もそのときどきで変化しています(もっともなにをやってもデオダートらしさというのはあるのですが)。その多様さゆえ、人によって好きなポイントが違うミュージシャンだという気がします。とりわけ70年代に入ってからのCTIというレーベルを作った才人クリード・テイラーというプロデューサーとの仕事からデオダートの音楽はガラリと様相が変わりました。なので、CTIレーベルの仕事の前と後で好みが分かれる気がします。ぼくはCTI以前のデオダートのほうが好きです(もっともCTI時代も好きではありますが)。CTI以前のこのアルバムはだから、ぼくにはまさにツボでした。デオダートが64年に制作した音源を、音楽レーベルのIRMAが一枚まとめたというもののよう。
タイトルどおり、ラウンジ音楽が好きな人、映画のサントラが好きな人にはたまらない内容だと思います。デオダート自身がリスペクトする音楽家ヘンリー・マンシーニの曲やジャズのスタンダード曲などを取り上げ、異なった2つの曲をつなげて聴かせるという手法で、そのアレンジの妙に聴き惚れます。
デジタルリマスター版らしいのですが、もともと録音された時代が時代なので音質は良くないです。楽器によって音が左右のチャンネルに振り分けられています。しかしその旧式さがむしろ味わい深いです。
一曲目の♪Sally's Tomato/Teach Me Tonight ♪のオーケストレーションの華麗さ! はじめて聴いたときはえもいわれぬ
感動を覚えて、むせび泣きそうになりました。
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