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Ivan Lins
 Dois Corregos / Ivan Lins

ブラジルが世界に誇るメロディーメーカーのイヴァン・リンスが映画音楽を担当。イヴァンは過去に、TV番組用の音楽を担当したことはあったようですが、映画音楽に本格的に取り組むのはこれが初めてのようです。99年作。イヴァン自身のレーベルである”ヴェラス・レーベルからのリリース。重厚なストリングスと悲愁漂うメロディの一曲目から、色濃くイヴァンワールドが展開されています。


Casa Feliz/柏木広樹
 Casa Feliz / 柏木広樹
 
カーザ・フェリース / 柏木広樹

チェリスト柏木広樹さん。表現力豊かで、人間的な温もりを感じるチェロの音色が好きです。参加メンバーに、榊原大さん、コモブチ キイチロウさん、越田太郎丸さんなどなど、才気あふれるミュージシャンが参加されていて、安心して聴けます。そして、わたしにとって♪ダブダブ♪という曲とフランスからクレモンティーヌをゲストヴォーカルに迎えての♪Jo Joue♪は耳に残る名曲です。


Mondo Albertone/ピッチオーニ
 Mondo Albert One / Piero piccioni

イタリアの喜劇俳優アルベルト・ソルディ。2003年に82歳で他界されましたが、生前は俳優業にとどまらず、脚本や監督も手がける才人で、まさにイタリア喜劇界の顔ともいうべき存在でした。このアルバムはそんなソルディの主演作品・監督作品から、音楽家のピエロ・ピッチオーニの曲ばかりを集めたコンピレーションアルバム。
  ソルディとピッチオーニは、
お互いにインスパイアしあうものがあったようで、一緒に仕事をすることが多かったようです。また、ピッチオーニの傑作と言われる楽曲もソルディの関わった作品に数多く見られるのも特徴です。このアルバムはソルディの追悼盤であると同時にピッチオーニのベスト盤とも言えるようなアルバムです。
 5曲ほど、ピッチオーニの曲のリミックス・バージョンも収められています。それもまたこのアルバムを華やかなものにしています。
全18曲。


Storia Di Un Italiano/ピッチオーニ
 Storia Di Un Italiano / Piero piccioni

上のMondo Albertoneというアルバムと酷似してますが、別物のアルバム。とはいえこれもまた喜劇俳優ソルディ作品のなかからの音楽家ピッチオーニの作品のみをとりあげたコンピレーション・アルバムで、多少ダブっている曲もありますが、それらは音質に微妙に違いがあるようです。また、こちらはリミックス・トラックなど実験的な試みはなく、オリジナル音源のみでで構成されたアルバムですが、採曲された作品の幅が広いのが特徴です。ソルディとピッチオーニの後期作品からのトラックも数多く収められています。全20曲。


 Juntos / Ivan Lins
  ジュントス / イヴァン・リンス

”いっしょに”という意味があるアルバムタイトル。その通 り、ブラジル音楽界の雄イヴァン・リンスが多くのミュージシャンと共演したアルバムです。
  このアルバムは84年発表されたもので、当時、イヴァンはMPB(Musica Popular Brasireira)というジャンルの旗手として注目を集めている頃でした。MPBというのは平たくいえば、ブラジルの伝統的な音楽手法に現代のポップなセンスを混ぜたような音楽のことですが(つまりはブラジル流のポップスのことになるでしょうか)、イヴァンはそのMPBの看板的存在で、当時、急速に世界中に認知されてきた頃でした。そうした背景もあり、アルバムに参加したミュージシャンも豪華です。ギターのジョージ・ベンソン、ベースのマーカス・ミラー、ヴォーカルのパティー・オースティンなど、才気溢れるアメリカのミュージシャンが名を連ねています。また、イヴァンを見いだした故エリス・レジーナとの貴重な共演も最後に収められていたり。曲もイヴァンのスタンダードばかり。オリジナルとは違う雰囲気が楽しいです。


 Return To Forever / Chick Corea
  リターン・トウ・フォーエバー / チック・コリア

ジャズ・ピアニストのチック・コリアのアルバムにして、ジャズの古典とされるアルバムです。1972年発表。チック以外のメンバーも、その後のジャズシーンを代表する面 々ばかり。アイアート・モレイラ(ドラムス、パーカッション)ジョー・ファレル(フルート、ソプラノサックス)、スタン・リー・クラーク(ベース)、フローラ・ピュリム(ボーカル、パーカッション)という布陣です。
  4曲収録のこのアルバムは、ジャズミュージシャンのチックらしく、インプロヴィゼーションによる演奏のため曲のサイズが長いです。1曲目のタイトル曲は12分ほど、ラスト4曲目は23分を越える曲となっています。個人的には3曲目の♪What Game Shall We Play Today♪が好き。曲名はアルバム中一番長いけれど、演奏は4分半くらいで、アルバム中いちばん短いです(笑)。唯一のボーカル曲で、女性ボーカルのフローラの歌声がかわいらしい曲調に合っていて好きです。


 Photographs / Casiopea

インストゥルメンタルグループ”カシオペア”が1983年にリリースした、通 算9枚目のアルバムです。
アルバムの一曲目を飾る♪Looking UP♪。インパクトのある華やかな出だし、それに続く特徴的なベースライン、軽やかで爽やかなメロディ、カシオペアにしてはかなり珍しい8ビートのリズム。それまでのカシオペアは16ビートの得意なグループという印象。おそらくカシオペアの8ビートの代表曲というと、真っ先にこの曲が挙がるのではないでしょうか。
 カシオペアはギター、ベース、キーボード、ドラムの4人編成。グループにおいて、大半の曲を作っているのはリーダーでありギターの野呂一生(のろいっせい)さんですが、このアルバムではメンバー全員がそれぞれ楽曲を提供。それぞれ個性を出しつつ、どれも良い曲です。さらにジャズサックスプレイヤーの渡辺貞夫さんが楽曲を提供しているなど、バラエティーに富んだ内容。2曲目のタイトな16ビートの♪Dazzling♪といい、3曲目のバラード♪Long term memory♪のフレットレスギターの輪郭の丸い音といい、インド楽器シタールを用いた♪Spice Road♪のオリエント感覚といい、どの曲も創意工夫が凝らされていて素晴らしいです。20年以上前のアルバムとは信じられないくらい洗練されてます。そして上質なポップさがあります。
 カシオペアは、今は活動を休止しています。そして再活動するかも不明です。かりに再活動が実現しないとしても、そう遠くない未来にこれらのアルバムが再評価されるときが確実に来ると思います。


 Fuma di Londra / Piero piccioni

1966年制作のイタリア映画、 『Fumo di Londra〜ロンドンの霧』と、1967年作品、『Un Italiano in America』のサントラのカップリングアルバム。ともに作品の監督と主演を喜劇俳優アルベルト・ソルディが務めています。音楽は、彼の盟友であるピエロ・ピッチオーニが務めています。
  パイプ・オルガンによるジャズテイストたっぷりの内容。派手なオーケストラで演奏される名曲♪You never told me♪も入って、この時代のソルディとピッチオーニの勢いを感じられます。

 このアルバムは1994年にイタリアのレコード会社から出されたものですが、その後、ジャケットや仕様を変えて日本でも2枚組アルバムとして登場したようです。


 Jacques Tati
 ジャック・タチ作品集(オリジナル・サウンドトラック集)

フランスの映画監督であり俳優であるジャック・タチ。1982年に亡くなりましたが、今も世界中にその名をとどろかす才人です。『ぼくの伯父さん』という代表作をはじめ、数は少ないながらも傑作映画を残しています。タチ作品は喜劇がベースですが、大袈裟なアクションで笑いを誘うタイプではなく、日常のちょっとした出来事のなかにひそむユーモアをさりげなく見せるようなとぼけた笑いが特徴でした。 もともとタチはパントマイムの達人で、人の仕草や心理のディテールに対する観察眼と研究心は相当なものでした。そうした資質が独自の笑いのスタイルを生んだようです。
 タチはまた完璧主義者で、画面のすみずみまで一分の隙もないほどこだわったと言います。そしてこだわりにこだわり、
制作に3年の月日と莫大な費用を投じた映画『プレイ・タイム』の興行的失敗によって破産してから、タチは表舞台から姿を消し、その後ひっそりと他界したというような印象。
  とはいえタチの残した作品は文化的価値の高いものであり、トリュフォーやゴダールなど、ヌーヴェル・バーグの監督にも多大な影響を与える一方で、音楽、建築、ファッションなどの世界にも多くの影響を与えたことでも知られています。そして2000年を過ぎてからフランスのデザイナー、アニエス・ベーの尽力などにより、改めて再評価されるなどしています。
  ここで紹介しているのはそんなジャック・タチの映画4作品のサントラを集めたアルバム。映画に使われた楽曲はけっして多くないですが、それだけにここにある楽曲はどれもそれぞれの映画の魅力を凝縮したような作りになっています(音楽が少ないのはタチの作品の性質上、音楽が仕草や表情の機微を見せる際のさまたげになると考えたからではないかと思われます)。タチの映画に使われていただけあって、音楽もどこかとぼけた感じがあります。どの曲もどこか可愛らしさのようなものを感じもします。フランス発のこのアルバム、日本版では「ぼくの伯父さん」のテーマの完全版が収録されているそうです。


ニューヨーク・ヴォイセス
 Caravan / New York Voices
  キャラヴァン / ニューヨーク・ヴォイセス

ニューヨーク・ヴォイセスは90年代に彗星のごとく現れたコーラスグループ。 メンバーは当時全員20代。若いながらもその才能は早くから注目され、 第2のマンハッタン・トランスファー との声も聞かれたほど。
 このアルバムはミニ・アルバムで、90年代に日本の自動車メーカーであるマツダのCMに使われた♪Persona♪をはじめ、1st アルバムから3曲を収録しています。
特に♪Persona♪は名曲だと思います。この曲はフル・アルバムには収められず、このミニ・アルバムでしか聴けないよう。それがとても残念。
彼らはまた、大御所ギターリストのジョージ・ベンソンと共演したり、イヴァン・リンスのトリビュートアルバムに参加したりと、幅のある活動をしています。最近は新しいアルバムを出していないようで、それが残念。


ワークシャイ
 The Golden Mile / Workshy
 
いつかどこかで/ワークシャイ 

ロンドン発のグループ、ワークシャイのデビューアルバムです。89年作。マイケル・マクダーモット(b)、クリスタ・ジョーンズ(vo)、ケヴィン・キーホー(g)の3人によるグループ。ボッサテイストの1曲目♪You're the summer♪から始まる心地よい一枚。どことなくかつての「シャカタク」に似たものを感じるのは、同じイギリスというお国がらでしょうか。懐かしさを感じながら聴いてしまいます。


 Smile / 小野真弓

この笑顔には弱いなあ(*^^*)アハハ 。小野真弓さんというと某ローン会社のCMで一躍脚光を浴びたタレントさん。グラビア活動や女優業などをしつつ、歌も歌います。 2005年に発売されたこのアルバム (ぼくは完全にタイミングを外して、2007年の終わり頃インターネット上で初めて聴いたのですが)、正当派なポップスという印象で、心地よく聴きやすいのです
 このアルバム、フォークソングを語るうえでは欠かせないグループ『かぐや姫』の伊勢正三さん、お洒落系サウンドのピチカート・ファイブの元メンバーの小西康陽さんという面 々がかかわっているそう。なるほどこのクオリティに納得です。2005年作品でありながら、どこか現代風でないというか、70年代っぽいサウンドのエッセンスを意図的に取り入れてるような感じがあります。アルバム全編通 してのカラーを統一しようというこだわりが伝わってきて、からっと爽やか、心地よい良質なガールズポップに仕上がっています。ガールズポップというのはその性質上、ある種、「期間限定品」のようなところがあって、それだけに消費されるのが早く、アーティスト性も希薄に想われがちなような気もします。このアルバムはそうした流れへのアンチテーゼでもあるかのようです。 小野真弓さんのイメージと飾らない歌声、そして楽曲とがうまく合っていて、新鮮で心地よいです。とくに♪春♪という曲と♪朱色の空♪という曲、いいです。


ボサノヴァの娘たち
 Filhas da bossa 〜ボサノヴァの娘たち

ボサノヴァ、新時代の一枚。ボサノヴァ誕生からすでに半世紀以上が過ぎ、若い才能や往年の名プレイヤーの二代目などもぞくぞく登場しているようです。このアルバムもボサノヴァ界の大御所たちの愛娘たちによって構成された一枚。カルロス・リラ、ジョイスといった実力派アーティストをはじめ、作詞家ジョタ・フェヘイラに、作曲家セパスチャンといったボッサノヴァの歴史を築いてきた人物の愛娘さんたち4人によるアルバム。なんというか、ボサノヴァ界の新しいアイドルたちといった趣です。女性のヴォーカルによるボサノヴァが好きならハマると思います。 DVDがついていて動く彼女たちの姿も見られます。


Son de Santiago
 Son de Santiago / MAKOTO

マコトさんというラテンミュージシャンの歌声を耳にしたのは、たまたま足を運んだあるイベント。偶然の出逢いでしたが、しっくりとハマってしまったわたし。陽気で楽しく温かく、そして品があって。その場に立ちつくし、聴き入ってしまいました。その後ネットでマコトさんの活動を調べ、改めてライブを聴きに出掛けました。そしてますますマコトさんの音楽に惹かれました。このCDはマコトさんのそんな魅力がぎゅっと詰まった一枚です。陽気で伸びやかなラテン音楽満載。日本人とは思えないほどラテンの音楽がハマってます。マコトさんのひたむきでまっすぐなラテン音楽への姿勢が、聴いているこちらの気持ちまでも澄んだものにしてくれます。


Encuentro エンクエントロ
 Encuentro / Ivan Lins
  エンクエントロ / イヴァン・リンス

イヴァン・リンス84年のライブアルバムです。イヴァンが母国ブラジルを飛び出し、ワールドワイドな活動をしていた時期でもあり、その活動を象徴するような内容のアルバム。ライブ会場はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるルナパーク というところ。5千人ほどの観客を前に行われたようです。曲間の観客の歓声はあたかもサッカー観戦に熱くなっているサポーターの声援のようでもあり、 サッカー熱が高い国アルゼンチンらしいです。熱狂的な歓待に、イヴァンの歌唱もがぜん熱が入ってます。さて、参加メンバーは、80年代初頭にパット・メセニー・グループにも参加していたペドロ・アスナールをはじめとし、レオン・ヒエコ、ルイス・アルベルト・スピネッタというアルゼンチンの音楽界の実力派揃い。このアルバムの日本盤には、中南米音楽に精通 していらっしゃるケペル木村さんによる解説が付いていて、参加メンバーの詳細が知ることができるのも嬉しいところです。


YoungDjango
 Young Django / Stephane Grappelli

かつてジャンゴ・ラインハルトとという天才肌のギターリストがいました。破天荒な人生を送ったすえに若くしてこの世を去りましたが、今なお多くの人の愛され続けています。このアルバムは、かつてジャンゴとともに演奏していたジャズ・バイオリン奏者のステファン・グラッペリと、ジャンゴを彷彿とさせる才気あふれる若きミュージシャンたちによるジプシー・ジャズのアルバム。ギターはラリー・コリエル、フィリップ・カテリーンの二人。そしてベースにニールス・ペデルセンという編成です。歳を増すほどに深みも増すグラッペリのバイオリンの調べには、ただただ聴き惚れます。


Aquarela〜水彩画/小畑和彦
 Aquarele〜水彩 画 / 小畑和彦

小畑さんのギターの音色はどうしてこんなに柔らかいのでしょう。歌詞がないのに、良質な詩を聴いているような気がして、聴くたび心が洗われます。アルバム参加メンバーは、(dr/per)石川智さん、(p)二村希一さん、(her)松本トシアキさん、(b)コモブチ キイチロウさんという贅沢なメンバー。ジャケットの水彩画も小畑さんご自身が描かれているというから驚きです!  


Blue Haze / Miles Davis
 Blue Haze / Miles Davis
  ブルー・ヘイズ / マイルス・デイビス

ジャズの歴史そのもののような存在のマイルス・デイビス。1953〜1954年にかけて収録されたこのアルバムは、ジャズの名盤ではないかと思います。半世紀以上過ぎた2008年の現在聴いても色あせていません。マイルスのアルバムは一時期何枚か聴いていたのですが、そのなかでいちばん自分にしっくりきたのがこのアルバムでした。以後は自分の好きなジャズアルバムの一枚になりました。この空気感、ほどよくクールで、それでいてベタッとせず、心地よいです。「ジャズ」というと、「夜の似合う音楽」、というぼくの勝手な思いこみがあるのですが、このアルバムはむしろ昼に部屋の窓を開け放して聴きたくなるアルバムです。もちろん夜聴いてもハマりますけれど。


Speak Low/南佳孝
 Speak Low/ 南佳孝
  スピーク・ロウ  / 南佳孝

ぼくが小学6年生の頃、(79年頃)ラジオから♪ルート88♪という南佳孝さんの曲が流れてきました。ライブを収録した音源でしたが、そのあまりのかっこよさに、年若きぼくはたちまちのぼせ上がったのでした。まもなく中学生になったぼくは、小遣いを握りしめ、 ♪ルート88♪が収録されている『Speak Low』というアルバムを買いにレコード屋(死語か)さんに行ったのでした。ぼくがはじめて買った特定のアーティストのレコードは南佳孝さんのこのアルバムでした。30年近く経って懐かしくなり、改めてCDで購入しました。  
 79年に発表されたこのアルバム。当時大ヒットした♪モンロー・ウオーク♪なども収録されているので、当時を知る人には知られたアルバムかも知れません。
作詞家は、松本隆さんと来生えつ子さん(南さん自身はこのアルバムで作詞はしていません)。とりわけ南&松本コンビはこの時代ベストな組み合わせだったなあと思ってます。松本さんの詞は物語性が強くて、ビジュアル的なのです。歌を聴いていて、頭に映像が浮かぶというか、映画を観ているような感じです。♪ライオン・アンダー・ザ・ムーンライト♪と♪マリー,カムバック♪、♪Dear ミスター・シャーロック♪、♪マンハッタン・ジゴロ♪は昔も今も好きですそしてラストのバラード曲♪シンプル・ソング♪はちょっぴり寂しいセプテンバーソングで、しんみりと聴き入ってしまいます。と、挙げた曲は偶然にもすべて松本さんの作詞。ぼくには南さんの曲と松本さんの歌詞が絶妙に心地いいようです。ところで、南さんを聴くきっかけになった♪ルート88♪はライブのアレンジとかなり違っていたのも驚きでした。
 
夜更かしを覚えた中学生の頃、ヘッドフォンをしては夜更けによく聴いたアルバムです。


Depois Do Nosso Tempo
 Depois Do Nosso Tempo / Sonia Rosa
  デポイス・ド・ノッソ・テンポ / ソニア・ローザ

2006年発のソニア・ローザのアルバムです。ブラジル生まれである彼女。60年代終わりに音楽活動をきっかけに訪れた日本に根を下ろし、日本にブラジル音楽を知らしめる一人となりました。ジャズサックス奏者の渡辺貞夫さんや、作曲家の大野雄二さんらともコラボするなど人気を博したものの、80年代後半から出産・育児のために表舞台からは遠ざかっていたようです。それ以来の待望の新譜とあって、本アルバム、力入ってます。力みすぎると余裕がなくなって窮屈になりそうなものだけど、それがまったくないのです。大人ならではの余裕というか、「貫禄」を感じさせてくれて安心して聴けます。♪Deixa Eu Choro Sezinho♪ という曲、心地よくて何度も聴いてしまいます。


スクージ / ピエロ・ピッチオーニ
 Scusi,Lei E' Favorevole O Contrario? / Piero Piccioni
  スクージ / ピエロ・ピッチオーニ

イタリアの俳優であり監督であるアルベルト・ソルディが主演・監督を努めたコメディ映画のサウンドトラック。1966年作で日本未公開の映画ですが、サントラの完全版は、なぜか世界初で近年日本から出されました。これがそのアルバム。ジャケットはミニサイズのリーフレットになっています。
  音楽担当はピエロ・ピッチオーニ。数曲の曲をそれぞれアレンジを変えて聴かせてくれています。全部で23トラック収録。
 メロディの美しさ、リズムの多様さ、アレンジの妙。巨匠ピッチオーニの魅力が凝縮された一枚です。古いものなので音質は悪いですが、それがむしろ得難い空気感を醸し出しています。聴けば聴くほど味わいが増すアルバム。 通しで聴いていて気持ちいいアルバムですが、とくに22曲目の音源はたまらない気持ちよさです。美しいメロディ、どこか可愛いらしくもあるオルガンの音、優しくて伸びやかな女性スキャット、リズムアレンジ…どれをとっても絶品です。


ウオレストグルミット 野菜畑で大ピンチ!
 野菜畑で大ピンチ! / ハンス・ジマー、J・ノット
  The Curse of the Were-Rabbit / Original Motion Picture Soundtrack

イギリスの人気TVプログラム「ウオレスとグルミット(以下W&G)」がハリウッドに進出した記念すべき映画「野菜畑で大ピンチ!」のサウンドトラックです。W&Gはもともと本国イギリスでは過去に30分弱の長さの作品が3本放映されただけの作品。にも関わらず、世界的に知られる人気を博した驚異的クレイアニメーション(粘土を使った人形をこま撮りするアニメ)作品です。
 生みの親である監督ニック・パーク。彼が命を吹きこんだキャラクターたちが、いきいきと動き回り、いつも奇想天外な物語りを見せてくれます。
 W&Gが生まれた国はイギリス。イギリスは歴史あるだけあって、古いものが多い国。建造物もさることながら、アンティークも数多い。そしてそれら古い建造物やアンティークな家具や小物を愛する国民性。そうした国民性であるイギリス人らしく、W&Gの住む架空の町と家には古くて味のあるものが画面 のそこかしこに。2人の家の廊下、階段、そして壁紙もどこか年季がはいっていて、いい雰囲気をかもしています。正直作り物の架空の空間とは思えないような温かさと味わいがあります。かと思えば、主人公の一人である発明家のウオレスが作るメカは最新鋭のマシンという設定も面 白いところです(しかしイギリスのメカものは、映画『007』やTVプログラムの『サンダーバード』、そしてW&Gといい、メカの外観や「とってつけたような」性能はどれも似ています。やはり国民性?(笑))イギリスという国は新旧のまざり具合がなんとも絶妙です。W&Gの魅力はそういうところにもあると思います。
 まさにイギリスらしい作品なので、本作品の映画化でアメリカに進出するにあたり、本来の作品の味が変わってしまうのでは? と心配していたけれど(
ニック・パークはそれを恐れ、かつてディズニーからきたオファーを断ったという)、本作は既存作よりはゴージャスになったけれど、作品の独自の世界観は維持されている印象。音楽もW&Gの世界観を壊さず、ゴージャスに変身してます。
 ニックの友人、ジュリアン・ノット作によるテーマ曲。これまでの全作品に共通 で使われていこのメインテーマも今回、プロデュ−サのハンス・ジマー によってゴージャスに変身。にぎやかなブラスアンサンブルで聴かせてくれます。
 
フル・オーケストラという古典的な形式のサントラではあるものの、アレンジなどは現代的。一曲一曲、豪華で味わい深く、贅沢なものになっている気がします。クラシカルな手法ゆえに手が込んだW&Gの世界に、やはりクラシカルな形式の音楽は、絶妙にマッチ。でも、ただ古いだけではない、というところが、このW&Gの魅力の深さだという気がします。
  収録されている曲の順序が映画本編の進行に沿ってます。だからアルバムのクライマックスに向かうほどに音楽も盛り上がってきます。 サントラを聴くたびに、映画本編を観たくなります。


サミーデイヴィスjr.&カーメン・マクレー
 Boy meets Girl / sammy Davis jr. &Carmen McRal
  ボーイ・ミーツ・ガール / サミー・デイヴィスkr.&カーメン・マクレー

1957年にアメリカで発売されたアルバムの復刻版CDです。 サミー・デイヴィス・ジュニアとジャズシンガーのカーメンー・マクレーの共演という、贅沢な顔合わせ。
 
サミーは言わずと知れた名エンターティナー。タップダンス、歌、ものまね、楽器演奏などなど、なにをやらせても、人を魅了してやまない高いエンターテイメント性を持っている人でした。 サミーは幼少から貧困と人種差別に苦しみながらも、エンターティナーとしての芸を磨き、やがてショービジネスの世界でその才能を開花させました。華やかな活動をする一方で交通 事故で左目を失うなどアクシデントに見舞われながらも、不屈とも言える精神で、名エンターティナーとしてその後も華々しい活躍をしました。惜しくも90年にこの世を去りましたが、いまもって多くの人々の記憶に深く焼き付いている人物ではないでしょうか。
 共演するカーメン・マクレーンはその実力が認められたのが40歳なかばということで、遅咲きのジャズシンガーと言われたりしますが、
その歌声の貫録はさすがです。
 
酸いも甘いも噛み分けた二人ならではの、味わい深さが このアルバムにはあります(心なしかジャケット写 真の二人の顔が似ているように見えるのですが…)。そしてなにより楽しいアルバムです。
 このCDを手に入れたのは2000年以前だったのですが、一度廃盤になっているよう。
その後2005年に再リリースされているようです。収録曲も13曲から23曲入りと変わっているようです。


France Gall
 L'anthologie〜アンソロジー'63/'68 /France Gall
  夢見るフランス・ギャル / フランス・ギャル

2000年発の フランス・ギャルのレアトラックベストです。「ベスト」と称するものはそれまでもCD化されていましたが、このアルバムはそれら既存のものとは色合いを変えてます。レコード会社フィリップスに在籍中に残したシングルレコードのB面 の曲など、レアトラックを主体に集めているそう。メジャーな曲では、 セルジュ・ゲンスブール作曲による♪夢みるシャンソン人形♪も入ってます。しかもフランス語バージョンのみならず、60年代日本でも大ヒットした日本語ヴァージョンが収録されてたりするのです。ぼくはその日本語バージョンが目当てでこのアルバムを買いました。とはいえ、ぼくのばあい、その曲が好きだからとか、フランス・ギャル、もしくはフレンチポップスが好きだからというよりは、幼少期の頃に感じていた空気を蘇らせてくれる音源だから好きという感じです。 70年代前半の頃だったと記憶しているのですが、近所のお肉屋さんにコロッケを買いにいくと、店先にいつも♪夢みるシャンソン人形♪(日本語ヴァージョン)が繰り返し流されていました。注文を受けてから揚げてくれるその肉屋さん。おいしいコロッケが揚がるまでの時間、何度もこの曲を聴かされ、やがて頭に刷り込まれたのです。だから ぼくにとっては聴くたびにコロッケが食べたくなる「パブロフの犬」的音楽です。


司法取引 Assolto per aver commesso il fatto

 Assolto Per Aver Commesso Il Fatto / Piero Piccioni 他
  映画『司法取引』サウンドトラック / ピエロ・ピッチオーニ他

日本未公開のイタリア映画のサントラです。92年作。「司法取引」という邦題がついているので、法廷ものと推察しますが、主演が喜劇俳優のアルベルト・ソルディであることから、シリアス系ではなく、コメディタッチの作風かと思われます。
  音楽担当として、ピエロ・ピッチオーニの名前がクレジットされてますが、ピッチオーニ以外の音楽家の
曲も数曲収録されています。ピッチオーニらしい、オーケストラによるスコアを中心にしつつ、ジャズあり、サンバあり、そして他音楽家のエレクトリックなロックありとにぎやかな印象。
  収録曲のひとつ、
ピッチオーニの作品♪BRAZILIAN HEARTHACHE♪というサンバは、傑作です。ラウンジ系オムニバスアルバムに取り上げられることも多いよう。
 
♪Japan♪という曲にはピッチオーニの日本人に対するイメージが凝縮されているようで面 白いです。曲名通り、和のイメージを感じさせる曲です。でもどことなく中国風な音楽様式をも感じさせ、そしてなぜか途中から瀟洒なジャズに一変するあたりの無節操さが好きです。
 このアルバムにはまた、イタリアの国民的女性歌手ミーナ・マッツィーニ(日本でも過去にアルバムを出しています)が主題曲♪ADDIO♪を歌ってたりもします。



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